Phantasy Garden

久しぶりに以前目を通した事のある啓蒙書を読み直してみると、そこには一度読んだだけでは分からなかったものが数多くあることが多い。たとえばその知識を咀嚼し、吟味し、新たな考察を付け加え、それについて自分自身に問い、誰かと議論する事が可能となるものであれば、一度読んだ事のある書物を読み直すという事が非生産的な活動ではないという事は明白だ。割と昔から乱読家であると自称している私でも、その再発見に改めて驚く事がしばしばある。殆ど本を読んだ事がないという人が、子供の頃に読んだ絵本を読み返してみて違った見解を発見したときの驚きと同程度には。その人たちにとっては、それこそ青天の霹靂のようなものかもしれない。

まず、自分がいかにすべきことをしていないかを痛烈に批判されたような気分になった事。この場合のすべきこととは、大学の講義のようなうんざりして退屈するようなものではなく、自分自身で望んでそれをしようとさえ思える事だ。なぜそれをしないのか。理由はいくらでもある。忙しいから、今している事が片づいたら、もうちょっと考えたいから、等々。だがそれらが正当な理由であるとはとても思えない。ただ単純に、なんとなく、やろうと思えないだけである。

果たしてそれは怠惰だろうか。やろうと思えないなら、それは望んでいることではないのではないだろうか。答えはイエスでもあり、ノーでもある。中途半端かもしれないが、その中途半端さがまさしく没頭できない原因でもある。要するに、したいことに没頭した後それを外部の圧力によって中断されることが嫌いなのだ。その圧力は仕事の都合でも、友人との約束でもなんでも構わない。没頭できない事に対して拒否反応を示してしまうだけなのだ。

半分のうちノーである理由はそれだが、もう半分のイエスはそのことを理由にその圧力に屈している事を甘んじて受け入れているという事実。没頭できる環境がほしければ、なるべくその環境を実現できるようにすればいいのに。

それから、構想したアイディアを実践せずに温めてばかりいるということ。これは「早すぎる最適化」(最初から完璧なものを作ろうとして、結局中途半端にしか達成できないという意)になってしまう。早すぎる最適化は、そこから生まれてきたであろう新しいアイディアの芽も摘んでしまう。アイディアを思いついたならすぐに実行すべきなのだ。少なくとも、責任を完全に自分で引き受けられるようなものならば。そうしているうちに、もっと面白いアイディア、奇抜なアイディアが得られる可能性が高まっていく。アイディアの結果が目に見える分、継続の意欲も高まる。芸術分野やプログラミングなど、独創的なものを必要とする部分ならなおさらその能力は必要とされる。

実際、いくつかのプログラミングに関するアイディアが既に私の頭の中に浮かんできている。実践してみたいのだが、前述のような言い訳のために未だ実行できずにいるが。ひどく単純なアイディアもある。ブログの分類を一つだけでなく、複数選択できるようにしたいという単純なものも含めれば、それこそ膨大な数になる。実のところ、この記事は思想に分類すべきか、情報処理に分類すべきかを迷っていた。未来の自分が記事分類に複数選択できるように処理を施したのなら、どちらの分類にもまたがっているかもしれないが。

物事の実行速度は人生を有利に動かすための武器になる。とりわけ、それがビジネスチャンスになるようなものなら、わずかな違いが雲泥の差を生む事になるだろう。だからこそ書物によってそれを指摘されたとき、自分の怠惰を批判されているようなものだと恥じた。有利なようになりたくないわけじゃない。ただ、何らかの超常的な力によって自分が不利になる方向には進まないのだと無根拠に信じている節があっただけだ。それがいかに馬鹿げているものなのかは、少し社会に出た人であればすぐに分かるだろうが。しかしそれでも、私の目にはその怠惰に溺れている人が大勢いるように見受けられる。

無理に嫌な事をしろと主張しているわけではない。自分の好きな事さえ、なぜ突き詰めて努力しようとしないのかと問いかけているだけである。好きな事に一生懸命になれずに、嫌いな事ができるはずもない。努力を放棄する事はすなわち、何に対しても自分が不利な、あるいは無知な方向にしか動かないということを認める事になる。

繰り返すが、これは強制ではない。自分の意志によってのみ行える活動だ。多くの人はこれらの狭間のなかで彷徨いながら生きているように見えるが、それだけでは毒にも薬にもならないだろう。努力が必ずしも報われるわけではないが、成功者は皆精一杯の努力をしているものだから。

今自分がすべきことは何か。自戒の意味を込めて、常に問い続けていきたい。

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