シャワーを浴びていて、ふと素朴な疑問が浮かびました。子供の頃から聞かされた人もいるかと思いますが、『水やお湯を出しっぱなしにしていたらいけないよ』というもの。
これは果たしてどういう注意なのか。その注意に『何故?』と聞き返した時の返答を記憶の限り思い出すと、『環境に悪いから、お魚さんたちが死んでしまうでしょ』だったかと思います。言葉はほとんど曖昧でうろ覚えですが、大意としてはさほど変わりはないはず。
ここで考えてもらいたいのは、ほんとに水やお湯を出しっぱなしにしたら環境に悪影響なのか?ということ。まだ年端も行かないクソ生意気な子供だったころは素直にそれを信じていましたが、多少なりとも知性が発達して大学で自然環境分析学を専攻している身分としては、やはり考えるべきではないかと思うのです。
そもそも水やお湯(以下、水と略記)をそのまま下水に流すということは、すなわち未使用なままの水を汚濁水に流すということなので、汚濁は相対的に低下していいんじゃないかと思うんですよ。確かにシャンプーや石鹸を洗い流すと水は不純物を交えて流れていくので汚れていると推定できますが、それと同量の水をそのまま流したとすれば単純に濃度が半減して環境負荷が減るのではないか、ということ。広い目で見れば、水を出しっぱなしにすることはなんら環境に対して悪影響がないのではないかと思うのです。
ただ更に広い視点で見れば、水の出しっぱなしで汚濁水そのものの量が増加すると下水処理施設で処理される際に余分な量のエネルギー消費(浄化処理における薬剤の投与増大等)を迫られて、結果的に環境負荷が増大すると仮定することも出来、この場合は確かに水の出しっぱなしが環境負荷の増大に間接的に関与しているということも否定できません。処理装置の稼動に電気を使用するならば、電力消費増大で発電所に負担をかけ、その負担分が……などと辿っていくことも出来ます。しかし、それらはやはり『水の出しっぱなし』という主題からは間接的な問題であると思うので、これは根拠にして『水の出しっぱなしは良くない。何故なら環境に悪影響を及ぼすからだ』というのはいささか筋違いだと思います。
となると、やはり最初の仮定である『水の出しっぱなしが直接的に環境に悪影響を及ぼす』というのを疑うのが筋というもの。この仮定が正しくないとされるのは、この仮定の抽象的な部分を具体化したときに、その具体化したものを取り違えているからなんですよ。すなわち、一番初めの質問への返答文を括弧書きで抽象化部分の具体化を行うと、
『(家計の)環境に悪いから、お魚さんたちが(買ってもらえなくて食べられずに)死んでしまうでしょ』
節約は、大切です。
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