午前十時。院試の面接試験のために、受験生控え室で静かに自分の順番がくるのを待つ。個人対複数面接なので、一人一人面接会場へと飲み込まれていく様はまるで裁判で判決を待つ被告人のようだった。
カウントダウンはゆっくりと進んでいく。私の番号は六番。一から始まり、六人目の受験者ということだが、一人の面接時間がおよそ十分程度なので、面接試験開始からでも気を揉む時間というには充分すぎる。面接が終わって帰ってくる人たちの雑談でさえもあまり耳に入らない。
「……はぁ」
ため息しか出ない。五人目が行っている間、生きた心地がしなかった。
「――次の人です」
ついに来た。心臓が跳ね上がる。死ねる。むしろ殺せ。
面接試験会場の扉を開けると、そこには十数人ほどの教官達が座っていた。――話が違う。見た瞬間にそう思う。聞いていた話では、複数とはいえ五人ほどだったはず。
が、今更文句をたれるわけにはいかない。挨拶もそこそこに、まずは自分の発表を始める。
「……それでは私の研究について、発表したいと思います。まず――」
……実のところ、面接試験の内容はあまり覚えていない。発表内容云々もあまり深いところは突っ込まれなかったが、しどろもどろに答える様は内心自分でも呆れていた。質問に答えるたび、首を振る教官が気になって仕方がない。十分なぞすぐさま過ぎ去っていった。
終わってから、自分の発表のミスが脳裏をよぎる。ああすれば良かった、こうすればもっと良かったんじゃないか、と。過去を嘆いても仕方がないが、嘆かずにはいられないのが人間だ。
ともかく、私の院試はこれで終わった。明日からは――気象予報士の試験が待っている。
Comment
初書き込みです~!
俺のときは自分の研究の発表とかじゃなくて
現状とか、どんな研究なのかとか
本当に面接だったよ~。
今は変わったんだね!
>>高崎氏
どもですー。
専攻が再編成されたせいか、形式が地球系のほうに統一されたそうで。
ホント卒論の発表みたいと仰ってましたよ……。orz